平成25年2月3日(日)に、漢検1級、準1級を受検して参りました。甥(小4)は7級を受検し、1級と7級は同じ時間帯だったので一緒に行ってきました。
7級の問題が手に入ったのでまずは7級から(え?)
【7級】(小4修了程度)
7級は2字熟語は書かせないんですね。「ザイ料」「ロク画」という風な出題になっています。
勿論、甥は対策(伯父の特訓?)をして臨んでもらったわけですが、ノー対策で戸惑うと思われるのは大問(五)の音読み・訓読みを答えさせる問題です。この分野は、学校ではあまり教えないでしょうね。実は案外、大人でも難しい面があります。音読みはア、訓読みはイと記号で答えます。
(五)1給 きゅう 2願 がん 3印 しるし 4芽 め 5芸 げい
6勇 ゆう 7巣 す 8的 まと 9典 てん 10倉 くら
※解き方
実は、音読み・訓読みにはある法則があります。例外もあるのですが…。
屬鵝廚能わると音読み 2願 がん→ア(音読み) 9典 てん→ア
◆ 屬ぁ廖屬Α廚能わると音読み 1給 きゅう→ア 5芸 げい→ア 6勇 ゆう→ア
拗音「ゃ」「ゅ」「ょ」が含まれると音読み 1給 きゅう→ア
ぁ(垢い討垢旭嫐が思い浮かべば訓読み
ァ(垢い討垢旭嫐が分からなければ音読み
,イ鯀箸濆腓錣擦董
3印 しるし もう一つの読み「いん」は意味がすぐ思い浮かばない。また「ん」で終わる→「しるし」は訓読み→イ
4芽 め もう一つの読み「が」は意味がすぐ思い浮かばない→「め」は訓読み→イ
7巣 す もう一つの読み「そう」は意味がすぐ思い浮かばない(「そう」は小学校では習わない読みっぽいですが)。また「う」で終わる→「す」は訓読み→イ
8的 まと もう一つの読み「てき」は意味がすぐ思い浮かばない→「まと」は訓読み→イ
10倉 くら もう一つの読み「そう」は意味がすぐ思い浮かばない。また「う」で終わる→「くら」は訓読み→イ
他にも、
Α,修隆岨の読みが一つしか思い浮かばないなら音読みです。まぁ国字は訓読みしかないんですが。また、「岬」や「卸」、「皿」などには常用外の音読みがあります。
А,△箸藁祿阿魍个┐泙后「夕」の「ゆう」とか。これは訓読みで、音読みは「せき」。あとは常用外ですが「尉」「允」「掾」はすべて「じょう」という訓読みがあります。送り仮名付きは勿論訓読みです。
【準1級】
(一)8辰砂 しんしゃ、しんさ
〔補説〕 中国の辰州で産する砂の意
水銀の硫化鉱物。六方晶系。結晶片は鮮紅色でダイヤモンド光沢がある。多くは塊状または土状で赤褐色。低温熱水鉱床中に産し、水銀の原料、また、朱色の顔料として古くから用いられてきた。有毒。朱砂。丹砂。丹朱。
解答は「しんしゃ」のみですが、恐らく「しんさ」も正解でしょう。
17葱翠 そうすい
青々としたさま。また、みどりいろ(「漢語林」)
「葱」の音読みは覚えていなかったので焦りました。まぁ音符読みで良かったわけですが。
25日比(の精勤) ひごろ
「比」の表外読みには「なら(ぶ)」、「たぐい」、「ころ」があります。文脈で読めましたが、ノーチェックでしたね。
(二)10【故】に冷たい態度を取る ことさら
以前に何度も、特に文章題で出ています。「わざと」、「故意に」の意。「殊更に」とも表記。「ゆえ(に)」とも読めそうですが、文意が通じませんし、抑この大問は表外読みを答えさせる問題で、「ゆえ」は表内読みです。
(四)先日の記事をご覧ください。
(五)11にら 韮
「韭」と書きましたがこれも正解。「漢語林」によると、この2字は異体字なのですが、「韭」の方がメインで解説されています。
(七)問2
4人間業とは思えぬ技芸 【鬼斧】神工→きふ
5本末が転倒する 釈根【灌枝】→かんし
最近の傾向として、この問2で初出の語が出ています。この2語も恐らく初出。ただ、今回は初見でも解けそうです。
(八)大書 類義語 とくひつ→特筆
考え過ぎて「禿筆」と書いて誤答。「特筆大書する」という例文が「漢検漢字辞典」に。難しく考えることはなかったのです。
(九)2言葉にサヤがある。 鞘
言うことが率直でなく、へだてたところがある。ことばにうちとけないところがある。真実を語っていない。(「日本国語大辞典」)
4リカ一枝春雨を帯ぶ。 梨花
http://www.sanabo.com/kotowaza/arc/2001/07/post_1494.html
一枝の白い梨の花が、春の雨に濡れているということで、美人の悲しむ姿をたとえた言葉。中国、唐の時代、楊貴妃の死後、玄宗の命を受けた使いのものが仙境で太真と名をかえた楊貴妃と会う。その仙境で悲しくむせび泣く楊貴妃の美しさを春雨に濡れる梨の花になぞらえた歌から。(白居易『長恨歌』)
この場合、「春雨」は「はるあめ」と読むようです。問題集などで頻出の問題です。
(十)余は文学という女神は、イ【寧】ろ1【ロウジョウ】として終わるも、俗界の神なる「事業」にウ【嫁】することを否むべしと言いたり。(北村透谷「賤事業弁」)
イ むし ウ か 1老嬢
「老嬢」は今回個人的に一番難しかった問題です。「女神」だから「嬢」かなとも思ったんですが…。「籠城」と書いた人も多かったのでは?(僕もです)。「老嬢」はオールドミスの意。「嫁する」は「嫁に行く」の意と「責任などを他に転じる(すなわち転嫁)」の意があり、ここでは前者なのでしょう。北村透谷は難解ですよね(>_<)