スポンサーサイト
- 2021.04.11 Sunday
一定期間更新がないため広告を表示しています
- -
- -
- -
漢検R2-2(R2-1は中止でしたから今回がR2-1になるのかな?)の1級の(類義語・)対義語の大問で、「駘蕩」の対義語を問う問題が出ました。この出題は、twitter上で物議を醸しています。正解は蕭瑟だろうけれども、捷疾も別解として認められるべきではないか、というような内容です。
以下は私見であり、あくまで一個人の見解に過ぎませんが、と前置きしておきます。
「駘蕩」の意味は、大辞泉によると
1 さえぎるものなどがなく、のびのびとしているさま。「復讐の挙を全然忘却した―たる瞬間を」〈芥川・或日の大石内蔵助〉
2 春の情景などが、平穏でのんびりとしているさま。「駘蕩たる春光」「春風駘蕩」
となっています。全く同義ではありませんが、「春風駘蕩」が想起されます。
対義語問題の解法としては、その語の意味を考え、次にその意味の対義を考えて、その対義に相当する語が選択肢の中にあるか考えて、漢字に直して書く、といった流れになるでしょう。
さて、「駘蕩」の意味が「春風駘蕩」を念頭に置いた出題であるとして、その対義はどうなるでしょうか。「春の情景がのんびりしている、春風がそよそよと吹く」⇔「秋の情景がもの寂しい、秋風が寂しく吹く」という感じになるでしょう。そのような意味を表す語が選択肢にあるでしょうか。消去法などによって、どうも「しょうしつ」のようです。漢字に直した語のひとつである「蕭瑟」には、同じく大辞泉によると
秋風が寂しく吹くこと。また、そのさま。「―なる林の裏(うち)、幽冷なる池の上に」〈漱石・幻影の盾〉
となっています。これでしょう。
一方、「駘蕩」の意味に「のんびりしているさま」があるのであれば、「捷疾」には日本国語大辞典によると
(形動) すばやいこと。また、そのさま。捷速。捷急。※正法眼蔵(1231‐53)発菩提心「われらが寿行生滅、刹那流転捷疾なることかくのごとし」 〔北史‐和士開伝〕
とあり、これでも「合っている」のではないか、という意見が見られます。
しかし、漢検協会の見解はわかりませんが、「のんびりしているさま」の対義は「こせこせしているさま、性急なさま」のような気がします。また、「すばやいさま」の対義は「緩慢なさま、動きがのろいさま」のような気がします。
別の観点として、「駘蕩」は情景・景色の形容として多く使われる語です。それに対して「捷疾」は人の動作、動きに関して多く用いられる語でしょう。「駘蕩たる動作」とか「捷疾たる情景」というようには用いられないような気がします。
以上のことから、駘蕩⇔蕭瑟、のみが正解なのではないか、という感じがします。
あくまで私見ですので、間違っていたらすみません(((逃
平成24年度から漢検の審査基準が変更される
以前から知らされていた通り、H22年秋に常用漢字表が改訂されたことに伴い、H24年度から漢検の範囲が若干変更になります。以下、公式サイトより抜粋。
漢検公式HP
http://www.kanken.or.jp/index.php
2011/08/08
常用漢字表改定に伴う日本漢字能力検定の対応について [New]
平成24年度(2012年度)第1回から、日本漢字能力検定の審査基準を改定いたします。
平成24年度からの審査基準
平成24年度からの審査基準に関する重要なお知らせ(PDF・282KB)
現行の審査基準(平成23年度まで)
【程度】
常用漢字を含めて、約6000字の漢字の音・訓を理解し、文章の
中で適切に使えるようにする。
【領域】
読むことと書くこと 故事・諺
【内容】
ア.常用漢字の音・訓を含めて、約6000字の漢字を読み、その
大体が書ける。
・熟字訓、当て字、対義語、類義語、同音・同訓異字などを理
解すること
・典拠のある四字熟語を理解すること
・国字を書くこと(怺える、毟る など)
・地名・国名等の漢字表記(当て字の一種)を読むこと
・常用漢字体と旧字体との関連を知ること
イ.故事成語・諺を正しく理解する。
※約6000字の漢字は、JIS第一・JIS第二水準を目安とする
新しい審査基準(平成24年度〜)
【程度】
常用漢字を含めて、約6000字の漢字の音・訓を理解し、文章の
中で適切に使える。
【領域・内容】
《読むことと書くこと》
常用漢字の音・訓を含めて、約6000字の漢字の読み書きに慣
れ、文章の中で適切に使える。
・熟字訓、当て字を理解していること
・対義語、類義語、同音・同訓異字などを理解していること
・国字を理解していること(怺える、毟る など)
・地名・国名などの漢字表記(当て字の一種)を知っていること
・複数の漢字表記について理解していること
(鹽―塩、颱風―台風 など)
《四字熟語・故事・諺》
典拠のある四字熟語、故事成語・諺を正しく理解している。
《古典的文章》
古典的文章の中での漢字・漢語を理解している
※約6000字の漢字は、JIS第一・JIS第二水準を目安とする
準2級は略今まで通りの範囲(削除の5字は勿論除外されます)、2級は新常用漢字の範囲に広がります。今まで準1級・1級に含まれていた196字が単純に増えますから、難しくなるのは必定でしょう。
一方、準1級と1級は一見、今回の範囲変更の影響がないように思われます。実際、公式HPでも「対象漢字数・字種に変更があるのは、2級、準2級、3級です。」とあります。
ところが、よく見ると準1級・1級でも審査基準が見直されているのです。気付かれたでしょうか?
大きな変更点は2つあります。
1. 複数の漢字表記について理解していること
(鹽―塩、颱風―台風 など)
2.《古典的文章》
古典的文章の中での漢字・漢語を理解している
2.の古典的文章云々というのは、実際には今までも出ていたので、改めて示すまでもないような気がするのですが…。どうなのでしょうかね。「洽(あまね)し」など。
扨、問題は1.です。「複数の漢字表記」と称して、「鹽―塩」、「颱風―台風」の2組が挙げられています。「鹽―塩」は旧字体・新字体です。「颱風―台風」は常用漢字による書き換え可能な字に関するものです。常用漢字への書き換えは以前準1級で出ていましたし、旧字体問題もH15-2まで1級で出ていました。これらの大問が復活するのでしょうか? 恐らく違うのではないかと思われます。大問(一)の読みや(十)の文章題で、これらの読みが問われる、というような感じではないかと推測します。飽く迄も個人的な推測に過ぎませんけどね。「タイフウ(颱風・台風)を難しい方の漢字で書け」なんて問題は出ないでしょうから。となると読みでしか出しようがないんじゃないかと。
あと、2級の出題範囲変更に伴って、常用漢字の仲間入りした所謂「旧・表外漢字」(「挨」「彙」など)は準1級・1級で出ることは少なくなるような気がします。
ネットで既に知っていましたが、本日「漢検生涯学習ネットワーク」の案内が来ました。2011年4月1日から活動を開始する、日本漢字能力検定協会が設立した「漢検生涯学習ネットワーク」 に関するお知らせです。
会員の条件として「日本漢字検定協会」主催「日本漢字能力検定」1級もしくは準1級に合格した方が対象となっています。
以下、漢検協会から2011年2月24日頃に到着した文書からの抜粋です。
「弊協会では漢字、日本語を生涯にわたり学び続けていただく方を支援するため、平成23年4月より「漢検生涯学習ネットワーク」を設立いたします。
「漢検生涯学習ネットワーク」とは、1級・準1級の合格者を対象とした会員制の組織です。毎年各地での漢字や漢字文化に関するセミナーの開催や定期的な通信の発行などをおこないます。漢検上位級に合格した方たち同士のつながりを持っていただけるチャンスですので、たくさんの方にご参加いただきたいと存じます。
登録は同封の登録用紙を FAX もしくは郵送でお申し込みください。
<漢検生涯学習ネットワーク 概要>
●会員の条件:当協会主催「日本漢字能力検定」1級もしくは準1級に合格した方。
●入会金・会費:なし (ただし、開催イベント等にかかる費用をご負担いただく場合があります)
●主な活動(予定)
・漢字・漢字文化に関する生涯学習セミナー(会員向け):年2〜3回程度
・定期的な通信発行(郵送もしくはメールマガジン)
・会報誌の発行(会員からの投稿誌)
※そのほか、情報誌『漢検ジャーナル』や、当協会が開催する各種セミナーやイベントのご案内などをお送りします。
※郵便での案内は、基本的に国内在住者のみとさせていただきます。
●開始時期:平成23年4月1日より運営開始
●問い合わせ先
財団法人 日本漢字能力検定協会 開発部
住所:〒600-8585 京都市下京区烏丸通松原下る五条烏丸町398
TEL :0120−509−315(平日9:00〜17:00)
E-MAIL:lifelong@kanken.or.jp
(引用茲迄)
何だか面白そうなプロジェクトですよね。会費無料ですし、漢検1級・準1級合格者は是非申し込みましょう!♪
会員には4月以降に「会員証」が届くらしいです。こちらもプチ楽しみですよね♪